insight's diary

インサイト大西です。不定期更新です。よろしくお願いします。http://insightcorp.jp

テレワークにおける応対品質管理(2.モチベーション管理)

テレワークでのSV、オペレーターのモチベーション管理は各社の運営状況(テレワークの割合や頻度)によって多少異なります。また、運営における工夫のしどころは、こちらだと思います。以下2つのポイントを中心としていただき、各社で取り組みを考え、実行していただく土台になればと思います。

①存在意義を伝え、実感してもらうための取り組みを継続する

オペレーター業務はオンサイトの集合型であっても、顧客対応は非対面ですし、業務そのものは密室の1対1で行っているようなものです。つまり、100席のセンターであれば、100のお客さま応対が100の個室の中で行われており、その中身は(聞かない限り)見えない、ということです。それぞれ何が起きているのかを把握するために、リアルタイムモニタリングに加えて、SVの目視による状況把握、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。コミュニケーションを取らなければ、オペレーターにとっては一人で仕事をして、誰のサポートも受けず(最小限の質問に対する回答はあるでしょう)、何事もなく帰宅する…というルーティンになります。これを毎日機械的に繰り返し、みんな働く社会人なんだから、それぞれが勝手に存在意義を感じろというのは少々乱暴です。理由は上記の通り、少々変わった職場(個室対応)だからです。成果を目に見える形で見せる、表彰する、給与に反映させる、そして大切な存在であることを上司やリーダーから常に言われているという状況で初めて従業員満足度の一部に寄与するでしょうし、離職率の低下にもつながってきます。

ここで一つ重要な確認です。序章でも書いた通り、これまでのオンサイト運営でもSVが適切に、オペレーター一人ひとりに対して存在意義を感じてもらえるような仕組みづくりや、コミュニケーションを取るような運用はできていましたか。また、SVが本来のSV業務に専念できるように、業務整理を常にしていましたか。まずはじめにこの点から再確認をお願いします。オンサイト運営で出来なかったことが、テレワークになって自然に出来るようになることは、あり得ません

長くなりましたが、以下は上記の点がクリアできているという前提で記していきます。

テレワーク勤務になると、個室対応の場所が自宅に移動するということです。もともと見えないものがさらに見えなくなると感じてしまうのは、SVの目視による状況把握ができなくなることが大きいとのではないでしょうか。それを補完するには、とにかくコミュニケーションの頻度を密にすることしかありません。コミュニケーションには3つの種類があります。

  1. 第1領域(緊急かつ重要)コミュニケーション
  2. 第2領域(緊急度は低いが重要)コミュニケーション
  3. 第4領域(緊急でも重要でもない)のコミュニケーション

時間管理のマトリクスについてはリンクを参考にしてください。コールセンター業務は第1領域の連続です。ここでコミュニケーションを取らざるを得ないため、SVは概ね「オペレーターさんとコミュニケーションを十分に取っています」と言いますが、細分化して棚卸していくと、99%、第1領域です。

重要なのは第2領域です。第2領域の時間を大切にしてください。SVは予定調整し、毎日第2領域の時間を作り、コミュニケーションを取ってください。なるべくカメラオンにした状態で個別に会話が出来ると良いでしょう。時間は短くても良いです。出勤時には毎回必ず時間を作ること、継続することが重要です。日々の課題管理、進捗、業務に対しての不安のヒアリングなど、項目をしっかり定めて効率的に実施してください。その中で、ポジティブなフィードバックをオペレーターに与えることも忘れないでください。内容など細かな点は、次回述べることにします。

SVのモチベーション管理も忘れないでください。SVも同様にマネジメントがケアを必ずしてください。SVに対して自己犠牲的な考えを強いるセンターがまだあることに深く悲しみを感じます。SVの業務形態にもよりますが、SVもテレワークなのであれば、毎日時間を取ってください。テレワークとオンサイトのハイブリッドなのであれば、出勤時には必ず時間を取り、立ち話ではなく、個別に時間を取り、課題解決や進捗その他についてのコミュニケーションを必ず実施してください。

 

②必要以上の負荷やプレッシャーを与えない

上記①が主軸になりますが、②も気を付けなくてはならない点です。テレワークだから余計に厳しくしなくてはならないような気持ちは分かります。しかし、ようやく最近になって言われるようになってきましたが、いわゆる不正行為はどんなに環境を盤石に整えても、その人間性により発生してしまうことがあります。大変残念なことですが、これは犯罪行為ですので、予防には限界があると思います。

性悪説で運営ルールを決めなくてはならないことも理解できますが、大半のオペレーター、SVは大変真面目に業務をしています。そのことを理解し、過度な監視、過度なプレッシャーを与えることは推奨できません。過度な監視や拘束は、自分は信じられていないのだなという思いを与えます。これはその人を否定することにつながります。過度なプレッシャーも同様です。信頼されていないのだな、という印象を持ってしまい、自己肯定感は極端に低くなるでしょう。

マネジメントがしっかりとタスクの進捗管理をすることで上記は簡単に払拭できるはずです。テレワークは、より一層マネジメントスキルの有無を浮き彫りにすると言っても過言ではないでしょう。

 

【コロナ禍後】については、実績に応じた希望制を取り入れるようなテレワークを実施すると良いでしょう。

実際に、ニューヨークでコンタクトセンターを運営している企業が、成績優秀者に対して褒賞の一つとしてテレワークを許可していました。出勤のストレス、出勤時間短縮になり、それを維持したいためにエージェントは頑張るそうです。もちろん、目標をクリアできなければ再度出勤することになります。

日本でもコロナ禍前からテレワークを実施しているセンターがあります。こちらもやはりある程度の成果を出したオペレーターのみが許される特権、という扱いをしていました。シフト休の優先権などと同様に、テレワークを働き方の選択肢を与えるということでの褒賞の一つにしても良いでしょう。もちろん、全員がテレワークを希望するとも限りませんので、そこは個人に選択をしてもらうことになります。