insight's diary

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小さな靴屋の対応から学んだこと

近所の商店街にある、小さな靴屋が閉店する。閉店の貼り紙を見て、即座にある人に連絡したくなった。この店の店主に塩対応されたある人に。

その店、私は特に好き嫌いもなく日々店の前を通っていた。特段興味もなく、何の感情もなかったが、私の保険を担当してくれている方が、あるとき商店街の話になったとき、教えてくれた。

「十数年前、小雪のちらつく中、商店街を片っ端から飛び込み営業してました。商店街に靴屋がありますよね。その店主に”足跡がついて店の床が汚くなるから入ってくるな!”と言われたのは、今でも覚えてます」

ひどいこと言うなと思い、それ以来、その靴屋の前を通るたびにピカピカに磨かれた床…たしかにピカピカにキレイだった、、を眺めたり、仏頂面の店主をチラ見したりしていた。私がその店をチラ見はしたが、入ることも、買うことも絶対になかった。趣味じゃないということではなく、強く思っていたのは「そういうスタンスの店には、びた一文払いたくない」ということだった。

でもこの話は示唆に富んでいると思う。私が店主だとしたら、泥のついた靴で飛び込み営業をしてくる人を追い払いたくなる気持ちもわかる。床をピカピカにしているのだから、掃除の必要がある。でも、ものの言い方は変えられるはず。

「今日は雪が降ってるからそこでよく靴底拭いてよ」

「悪いね、保険は入るつもりないから、入口までいいよ」

この店主を責めるつもりはないが、店主だって営業職であり、サービス業ではないか。たぶん、商店街の靴屋なら、近隣の学校に靴を卸したりしていたのではないだろうか。そこだけ平身低頭、礼儀正しくすればいい?いやいや、そんなことはないだろう。

いつだれがどこでお客様になるかは、わからない。そのことはみなうっすらと頭の中にあるのに、自分がちょっとでも上になると、横柄な態度をとる。でも、人はどういうつながりがあるか、分からないもの。自分の行いがどのように影響するかをきちんと考えて行動したい。

あと一点、口コミの怖さだ。昨今はSNSで炎上することも多いが、今回は近所の商店街のとある店についてのリアルな口コミが考えられる。もし私がご近所と噂話をするならば、当然この靴屋の話は伝える。そしてその人が伝える…近隣の学校の親御さんの耳に入る、学校にうわさが伝わる…など、そういうことまで考えられないものか。

この話は、自戒も込めて書いている。私も含めて誰もが「こうあるべき」論を持っていて、それを他人に押し付けてしまうことがある。それそのものは悪くないことだと思うが、立場を利用して上からものをいうことや、必要以上に諭すことが正義だとは思わない。どうも、近年こういった価値観の押し付けや権力の押し付けに遭遇することも多々あり、辟易することも増えた。

せっかく年末だし、今年はコロナ禍で平等にいろんなことに自由が利かなくなりイライラする人も多かろうと思うが、振り返りの機会になればと思い記事にした。もしここまでお読みいただいた方がいらっしゃれば、公私ともに、互いを尊重できるようなコミュニケーションをともに目指していきましょう。