insight's diary

インサイト大西です。不定期更新です。よろしくお願いします。http://insightcorp.jp

カスタマージャーニーマップを活用したモニタリングデザイン

月刊コールセンタージャパン10月号に、ロイヤルティを高めるモニタリング カスタマージャーニーマップを活用する(上)寄稿しました。

モニタリングについては長年携わっておりますが、項目を増やしたり減らしたり、さまざまな工夫をクライアント企業様とともに実施してきました。しかしながらどうしても会社目線での評価になってしまい、顧客対応のはずが顧客不在のモニタリング評価に疑問を感じていました。

カスタマージャーニーマップに出会ってから、これだと思いました。徹底的に顧客目線で、感情軸で推移するこのマップをモニタリングに活用できるはず。まだ取り組みは道半ばのところもありますが、考え方を皆さんにお伝えしたく、機会を頂き寄稿させていただきました。

ぜひお読みください。次回は実際の事例を掲載します。

インサイト株式会社 | コンタクトセンターの品質の向上と育成のエキスパート

アジアのコンタクトセンターの状況は?

かなり久しぶりになってしまいました。

連休明け、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて私は3月にシンガポールで開催されたContact Center Week Asia 2016に参加してきました。昨年、一昨年と海外に出て先進事例を取り入れつつコール品質向上の仕組みをみなさんにご紹介していますが、その一環です。

カンファレンスは2日間でしたが、初日の午前中から非常に刺激的でした…シングリッシュに圧倒されたのではなく(正直ちょっぴりそれはありますがさておき)、その運営手法の理路整然さ、ゴール設定、それに向けてのKPI設定など、パワフルかつロジカルでした。プレゼンターは、インドネシアシンガポールバングラデシュ、UAE、マレーシアの国々の皆さんでした。ほぼ全員、センター運営に関わっている現場バリバリの皆さんです。

では私の専門であるコール品質に向けての取り組みはどうかというと、個別のモニタリング、フィードバックなどの細かな育成は私たちのほうが優れていると思います。しかし”本質的な”顧客対応品質の向上、例えば、カスタマージャーニーについてオペレーターに対して普通に教育したり、NPSを評価の一環に含んだりと、もう少し幅が広い…というより、本質的で包括的な育成が出来ているのです。

細かな点にこだわってマナーや謝罪、言葉遣いなど、その点についてのケアは日本が優れていると思います。その細かな点を活かして、もう少し包括的にコンタクトセンターにおける顧客対応とは何なのか?そこで完結するのではなく、顧客体験として考えた場合どのようなことになっているのか?など、視点を広げていき、そのうえで育成をしていく必要があると考えます。

カンファレンスの合間に何人かと必死に会話し「オペレーターにカスタマージャーニーマップを書かせたりしていますか?」と聞くも答えはほぼYes。様々な素晴らしい仕組み、どのように浸透させたの?と聞くと、この答えは万国共通で少々ほっとしますが「とにかく、コミュニケーションを現場と取る。何度も何度も話しあい、伝える」とのこと。

一方彼らももちろん問題を抱えています。例えば定着率が向上しにくい点です。ここはまだまだ工夫が必要な状況のようです。この辺りは、また日本とは状況が違うため一概には比較できませんが、とにかくすべてが進んでいて日本が遅れている、という事ではありません。

他にもたくさん感じた事、学んだ事はありますが、また何かの機会でお伝え出来ましたら幸いです。なお、当社のコンサルティングや研修にはこれらの内容を、日本のコンタクトセンターで利用しやすいようにカスタマイズして皆様にご提供しています。もしご興味がありましたら、いつでもご連絡ください。

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”おもてなし”を感じた良接客

12月24日です。メリークリスマス。

街はクリスマスプレゼントを購入するみなさんでごった返していますね。そんな中、私は、季節外れの「水着」を買うためにある百貨店に行きました。実は近々、常夏の海外に行く予定があるため、そのための準備です。

でも日本は真冬です、ということで、なかなかこの季節は水着が見つからないものです。百貨店に行けば見つかるかも?という淡い期待のもと、私は百貨店に行き、エレベーターを上がりとあるフロアにて売り場案内版を見ていました。するとほどなく男性店員の方がスッと近づき「何かお探しのものがございますでしょうか」と丁重に声をかけてくれました。

実はそこまでかなりあちこち別日も含めて探し回っていたので、助かった…という気持ちで「水着はどこに売っていますか」と伺いました。

すると「別館となりますがスポーツ用品を販売している場所がございます。水着があるかどうか確認しますので少しお待ちいただけますでしょうか」と丁寧に伝えすぐに目の前でそのスポーツ用品売り場に電話をしてくれました。

ここまでは普通でしょうが、驚いたのはその方の売り場への電話中の一つの会話です。

「今、水着をお探しのお客様がいらっしゃるのですが、いわゆるスポーツ水着ではなく、リゾートで着るような、そういう水着もある程度置いてありますか?」と確認していたのです。

ちなみに私は「リゾートに行く」という言葉は一切発していません。しかし「スポーツ用品売り場に行ってください」とだけ言われたら「スポーツ以外の水着も置いていますか?」と確認しようと思っていました。

過去の経験からの判断なのか、それとも、私の様子を見ての判断なのか、それとも時期的なもの(年末年始が間近)はわからないのですが、私としては”期待以上の対応をしてくれた”と大満足でした。

その後、その売り場に行き、気分よく買い物ができたのは、言うまでもありません。

補足すると、その「いわゆるリゾートで着るような水着」という確認が不要かもしれない、という観点もあると思います。その場合は、私が「それは不要」あるいは「別目的」と言えばいいだけの話です。ポイントは「もしかしたらそういう用途かな?」と自らプロアクティブにアプローチしていくことが重要です。電話対応でもぜひチャレンジしてほしいと思います。

Customer journey mapとCall quality monitoringの融合

コールモニタリングシートは、単なる言葉遣いや言い回しのエラーチェックから「お客様のニーズを引き出すための」アプローチや、それに対してきちんとオペレーター(会社)が応える事ができているか、という目的が果たせているか?という役割に変遷しつつあります。

ここ数年私ももちろん、上記に取り組んできましたが、今一つすっきりしない点がありました。それは、私のモニタリングメソッドでもまず一番に伝えている「顧客の目線で」という点です。この部分、多くの皆さんが苦労されている点かと思います。頭ではそうしなくてはならないとわかるけれども、されど俯瞰は難しい。

そこで、ようやくではありますがCustomer journey mapを活用すればよいのではないか?と気づきました。フォーマットは現在作成中ですが、数か月後には実運用できるレベルになると思います。

劇的な変化というよりは、可視化するための一つのツール、といったところでしょうか。また、形になってきましたら、ご報告します。

ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます、あり…

久しぶりの更新です。

ここ数日、私用で複数企業のコールセンターに電話をかけて色々な手続きをしています。対応はとても丁寧な方ばかりです。

しかし、いずれも電話をかけ終わった後に、ぐったりと疲れました。対応は丁寧です。ですが、必要以上に丁寧、丁重過ぎるのです。

私はあるカードを紛失しました。そのためとあるコールセンターに連絡をしたところ、大変丁寧に対応して下さったのですが、以下のような現象となりました。

私(何か聞かれて答えられない時)「忘れちゃいました、すみません」

オペレータ「とんでもないことでございます

私(聞かれた個人情報について回答する)「…です」

オペレータ「ありがとうございます

また、別パターンとして

オペレータ「私が今回のお手続き内容について復唱いたします」

私「はい」

オペレータ「ありがとうございます

つまり、何かを伝えると「ありがとうございます」を必ず言い、私が何か謝罪や謙遜をすると「とんでもないことでございます」と必ず言って下さいます。

モニタリングスコアとしては100点でしょうね。

でも、私は、ちっとも嬉しくありませんでした。疲れました。

それで私は最後にはどうなったかというと、何かこちらから謝辞や謙遜、謝罪などの言葉を挟むと「ありがとう」「とんでもないことでございます」の応酬があるからもう余計なことは言わないようにしようと固く誓ってしまったのです。電話の終わり頃は、ほぼ「はい」しか言わないようにしてしまいました。

ただし、気持ちとしては、大変面倒な手続きをお願いしたので、きちんとお礼をお伝えしたかったのです。とても残念でした。

今回特にお伝えしたいのは、コールセンターの対応はとかく「ありがとうございます」を言い過ぎているのではないか、ということです。

ありがとうを言うな、ということではありません。お礼の意味を考えてメリハリをつけることが大切です。

また「何らかの言葉を発したら謙遜する」などの自動的な反応が出来ることも素晴らしいのですが、顧客の状況に合わせてこちらも臨機応変に対応できるようにしましょう。あわせて、モニタリングシートの項目をフレキシブルなものに変更することをお勧めします。

 

シンプルで分かりやすい表現方法を学びませんか?(大阪)

お知らせです。

5月27日(水)デモ&コンファレンス大阪の実践研修講座を担当します。

スクリプト作成講座~ロジカルライティング技術の手法を学ぶ

顧客目線から考えたスクリプトの作成をしていますか?またそれはシンプルで分かりやすく、ロジカルになっていますか?

ごくごく基本的で分かりやすいロジカルシンキングを一部取り入れ、徹底的に”シンプルで分かりやすい”ライティング表現を学んで頂きます。メール対応、ログの作成など、さまざまなシーンで応用することが出来ます。苦手な方も心配ありません、どうぞいらしてください。

また、良く頂く質問「脱スクリプト派ですよね?」という問いに対しては以前記事を書きましたので、ご興味のある方はご一読ください。

insightcorp.hatenablog.com

モニタリングについての提言(CES)

月刊コンピューターテレフォニー5月号の特集

プロが教える「モニタリングの“新視点”」

コールセンタージャパン・ドットコムは、CRM/コールセンター構築・運営のための専門サイトです | 2015年5月号 <特集>

5人の識者に入れて頂き、CES(Customer Effort Score)視点でのモニタリングについて見解を述べました。CESの指標化については未だ研究中ですが、”顧客目線での電話応対の良しあし”にとにかくこだわって設計中です。

興味のある方がいらしたらぜひ連絡ください。

また、連載「SV/トレーナー向けフィードバック講座「伝える力」体得のススメ」も続けております。こちらも併せてぜひお読みください。

コールセンタージャパン・ドットコムは、CRM/コールセンター構築・運営のための専門サイトです | 2015年5月号 <連載/実践>