insight's diary

インサイト大西です。不定期更新です。よろしくお願いします。http://insightcorp.jp

テレワークにおける応対品質管理について(予告と序章)

昨今のコロナ禍により、多くのコンタクトセンターでは運営方法の変更を大きくせざるを得ない状況になっているかと思います。状況を拝察すると、コロナ禍によりこれまで躊躇もしくは検討されていた取り組みであるテレワークが一気に進んだ、という企業もあるでしょうし、取り入れざるを得ない…がどうしてもテレワークは導入できない、という企業もあり、状況は様々であるかと思います。

私自身もどのように今後の応対品質管理をすべきかということについて、情報収集を続けておりました。ある程度方針がまとまってきたので、現時点で考えられるテレワークにおける応対品質管理について以下3点にまとめてお伝えします。

  1. 応対品質管理
  2. モチベーション管理
  3. コーチン

記事が長くなりそうなので上記3つに分けて展開していきます。

その前に序章として2つお伝えしておきます。まず今回のコロナ禍で一気に進んだテレワークについて思うところがあります。

  • そもそも、システムを駆使してきた我々はテレワークを実践、活用するための下地は、他職種よりもある

私たちにはそもそも既に稼働を定量的に測定するためのシステムがあり、それを大なり小なり活用してきたはずです。現在さまざまな形で運用されているテレワークですが「トイレにさえ行きにくい」とぼやいていた事務職と思しき方の話を聞くと、マネジメントが「稼働率」を理解していないことが分かってきます。また、ハンドリングした数値はすべてレポートされます。この時点で実はかなりのアドバンテージがあると考えてよいと思います。

  • やるべきことはテレワークでもオンサイトでも同じ

一方、よく聞かれるのは「モチベーションの保ち方」や「コミュニケーションの取り方」です。この点は私もずっと考えていましたが、結果的にはオンサイトで皆が集まって仕事をする形と何ら本質は変わらないと思います。ただ違うのは、見渡せばそこにオペレーターやSVがいるという可視化された状態はないので、よりその本質的に必要な部分があぶりだされただけではないかと考えます。

例えば私自身、SVさんに「一日1回はオペレーターと会話をしてください」とお願いします。会話というのは手上げによる質問と回答だけではなく、ちょっとした天気の話でもいいし、ランチ何食べた?という雑談でいいのです。これさえ実行できないセンターマネジメントをしている状態でテレワークになったと考えれば、答えは明らかです。やらねばならないことは、テレワークでもオンサイトでも同じです。

 

次回以降、上記の1から3について記載していきます。

電話応対における良い「かぶせ」を意識しましょう!

コールセンターの応対品質評価項目に必ず入っている

「お客さまの言葉にかぶせたり、さえぎったりしていない」

という項目。

 

私はこの項目には危険が伴うと思います。なぜなら、良い会話には必要なかぶせ・さえぎりが頻発するからです。私自身、非常に良い電話応対を聴くことがありますが、特に電話の後半では「かぶせ」が多発します。

 

理由を説明します。

楽しくお話しているおばさまたちの会話、かぶせを気にしていますか?

ご自身がお友だちとの会話が盛り上がって楽しいときに「かぶせ」を気にしますか?

楽しい飲み会の席で多少酔っていても「かぶせ」を気にしますか?

誰かにお世話になってお礼を言ったら謙遜されてしまいそうなときに「かぶせ」ないで自分の意図を伝えますか?

 

…上記のように”会話が盛り上がったとき”は「かぶせ」が頻繁に発生します。その時に多少、話の腰を折られた感じはしますが、不愉快にはなりませんよね?

 

顧客の会話でも特にお礼を伝えるときや謙遜を否定するときなどには「かぶせ」が頻繁に発生します。それは良いかぶせです。

 

<良いかぶせの例>

お客さま「色々と聞いてしまってすみません、ありがとうございました。もう、ぜんぜん詳しくないものだから自分で調べようとしてもなかなかできなくって、まったく勉強不足で申しわけない…」

オペレーター「(多少かぶせて)いえいえ、そのような時はいつでもご連絡ください!」

※ここで多少かぶせないと、機械的な応対になります。ごく普通に人間的に応対しましょう。

 

時にはさえぎりも利用することがあるでしょう。主として謙遜するときかなと思います。

 

悪い例については、以前の記事でお伝えしました。この悪い例ときちんと区別して評価し、指導するようにしてください。

 

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CX Asia Week 2019に参加してきました

先週、シンガポールに行き、こちらのカンファレンスに参加してきました。昨年参加して、興味深かったので今年も参加しました。

www.cxnetwork.com

スケジュールの都合により初日のセッションには参加できなかったので、2日目だけの感想になりますが、何か参考になる点があれば幸いです。なお、私なりの解釈も入りますので、悪しからずご了承ください。

【NPS】

重要な指標であることに変わりはない。ただ、NPSだけでCXを評価するのは良くない。数字の向こうには「個々の価値観を持った顧客」がいる。ゆえに、他の複数のMetricsとあわせて評価すること。

また、NPSは社内全体で把握・対策をすることがとにかく重要。直接顧客と接していない部門にどう当事者意識を持たせるかが肝要。Customer Journey Mapを活用して、とにかく顧客志向な組織づくりをしなきゃだめだ、サイロ型はダメ、ということでした。

【Personalization】

こちらについては日本でも一部既出だとは思いますが「やりすぎはだめ」という概念もちらほら出てきました。どこまで監視されているのか、気持ち悪く感じる人も増えたと。おもにシステム面についてのPersonalizeです。

【People】

今年はこのキーワードが多く出ていました。対義語としてAI、botなど。否定的な意味ではなく、これらはあくまでも補助的に使うものである、例えばAIはトリアージするために利用すると考えている、という発言もありました。Peopleとは、従業員もですが、顧客のことも、そして社内外で関係するすべての人を指していました。つまり、NPSでも言及しましたが「システムより、人」に帰着していたのは、興味深かったです。

なお海外では[hire the right person]という言葉がよく聞かれます。人材難の日本とは違う点は、こちらかと思います。

【Employee Engagement】

上述の通り[hire the right person]ではありますが、それだけではダメ、やはりどのように顧客志向に現場になってもらうか、という変革についての例がたくさんありました。ダメなところを指摘するだけではなく、当事者意識を持ち各々が問題解決を出来るような組織にするための取り組みはまさに「組織全体で行うコーチング」です。Awardのビデオなどもあり、こちらについては不変の取り組み、とはいえ、やはり原理原則。従業員満足が低いのに高い顧客サービスを提供できるはずがありません。

 

上記が何か参考になれば幸いです。

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ベテラン(シニア)エージェントへの敬意と今後の展望

私はとあるセンターのエージェント(オペレーター)へのone on oneコーチングを年1回実施させていただいているのだが、先日とあるシニア層のエージェントさんが私がいる会議室のドアをノックし、突然すみません、と入室された。

 

「実は私、今年の秋で定年になります。お会いできるのが最後になりそうなので、挨拶に参りました」

 

こちらのエージェントさんはとてもお美しく上品な方で、そうそうお会いできるような雰囲気の方ではない。ご年齢はほぼ70歳。とても美しいし、私は人間として尊敬している。

しかしながらここ数年、フィードバックした内容が一発で通じなかったり、ご理解いただくのに時間がかかったことも事実。そしてやはり、そのセンターはあふれんばかりの情報とそのスピード、正確性が命となるセンターゆえに、ここ数年はその方に対しての厳しめの評価や報告が耳に入っていたことも事実。

最近、私もいったい何歳まで働けるんだろうかと自問自答する毎日。できるだけ働きたいけれど迷惑はかけたくないし、でも、その方のように現場第一線で働いている方はやはり素敵だし、あこがれもある。事実、この方以外に私がコーチングさせていただくオペレーターさんに60代の方々は本当に「ごく普通に」対象者として存在する。私のコーチングは別に年齢別に変えることはなく「その方に合わせた」コーチングなので別に年齢を意識することはない。

そして、とあるセンターでは70代以上も楽しく大勢働いている、というお話を伺うこともあり、非常に良いことだなと思っている。

60代以上、70代のエージェントがいるセンターが特別な業種かと問われれば答えはNOだ。それこそ20代~60代までが働いている”様々な業種の”センターが大多数だと思う。

私の考えとしては、Knowledgeが整備されていて、そのUIが優れているのならば75歳まで、あるいはそれ以上エージェント職が続けられるのではないかと期待している。若年層が少ない日本、そして私の年齢はちょうど団塊ジュニアで人口が多く、あと10年もしたらみな第一線を退いていく。年金もらって悠々自適、とはいかない我々、今のうちに先輩たちに問い、色々なことを考えておくべき必要があると思う。

<報告>ミャンマーのヤンゴンでトレーニングを実施しました

3月のことになりますが、ミャンマーヤンゴンMPT社のコンタクトセンター部門のマネジャー、現場のリーダーの皆様に英語でトレーニングを実施させていただきました。実は昨年も実施しており、今年は2回目でした。

テーマとしては2つ。

  1. Anger Management
  2. KPI Management

アンガーマネジメントは日本でも旬ですね。アンガーマネジメントに基づいた苦情対応のTipsをマネジャーさんたちにお伝えしました。今回最大のチャレンジは「ミャンマー語のログをモニタリングして皆さんと一緒にフィードバックポイントを探る」でした。私はミャンマー語が分かりませんが、コールの良しあしはわかります。

日本語で実施しているような、私が得意とする言葉の組み立てについてはもちろんアドバイスができませんでした。ただ、いわゆる非言語的コミュニケーションについてはなんとか、OK。今後も多言語でやっていきたいです。(英語はもちろんOKなんですが)

MPTの皆さん、ありがとうございました!

私自身アジア圏での提供トレーニングを増やしていこうと思っています。英語もブラッシュアップしないといけませんね。英語は得意ではありませんが、どうもアジアは肌に合うようで非常に楽しくお仕事させていただいています。アジアのコンタクトセンターについて何かありましたら、とりあえず私までご連絡ください。

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フィードバック用お薬:戦いのゴングを鳴らすな!「かぶせ」「さえぎり」やめましょう

症状⑥お客さまの話にかぶせてしまう/さえぎってしまう

 

禁止事項として取り上げられてはや20年くらいの「かぶせ」「さえぎり」ですが、一向にやめないオペレーターもいます。でも不思議と、なぜ「かぶせ」「さえぎり」が良くないか、ご存じないオペレーターも多々。改めて説明します。

なお、「かぶせ」「さえぎり」には、良いものもあります。それはまた次回として、今日は「悪い」ものについて説明します。

※一応定義します

「かぶせ」は、お客さまがお話をしているのに「かぶせ」て一緒に話してしまうこと

「さえぎり」は、お客さまがお話をしているのを「さえぎって」自分が話を一方的にすること

 

<なぜ直す必要があるのか>

 

他人が話しているのにかぶせたり、さえぎったりして 何かを伝えるシーンはほぼ「口論」「議論」など、争いのシーンで白熱しているときです。または、相手に火をつけるために話をさえぎって「ちょっと待て」というような雰囲気を作るときに自然に出るものです。これは誰に教えられるものでもなく、たぶん人間なら自然にやること。ご自分がケンカや議論をしているときのことを思い出してみてください。思い浮かばない穏やかな方は、映画やドラマの口論のシーンなどを思い出してみてください。つまり「宣戦布告」の証です。それをお客さま対応で、企業側が行う必要がありますか?たぶん、基本的には迷惑顧客以外にはないはずです。

<要因>

  1. KPIに縛られて、オペレーターは早く会話を終わらせようとしている
  2. オペレーター側からすると幾度となくされている質問で、お客さまの質問をすべて聞かなくてもわかってしまうため良かれと思い先に回答する
  3. せっかち、早合点な性格 

<お薬>

  1. 顧客にとってもオペレーター側にとっても悲劇です。かぶせやさえぎりで絶対にトークタイムは短くなりません!そのことをまず会社側(QA含む)がしっかり理解して、品質定義からやり直してください。
  2. 顧客視点の欠如。辛抱強く聴くことです。「またあの質問だろう」「いつものか」という気持ちは、お客さまに対してではなく会社にフィードバックして、その質問が来ないようにするための根本的解決を目指しましょう。そちらにパワーシフトして、お客さまに当たらないように。
  3. お口にチャックできる方法を見つけましょう。考えるよりも先に口が出てしまう人が多いはず。その性格や思考は直せませんが、顧客対応時の習慣としては直せるはず。一つの例として、思いついたら口に出さないため、口をきちんと閉じておく、というのも一案。(以外に口をぽやんと開いて対応している人も多いです)また、口に出す前に、手元メモに書き出して話すのをちょっと我慢する、などという方法もあります。実はこれは私自身、オペレーターの時にやっていました。思考がくるくると巡ってしまい困っていましたが、メモに先にアウトプットすることでお客さまの話を慎重に聞くことができました。そうです、私はせっかちです。

ちなみに、私自身が一顧客としてどこかに電話したときにかぶせてくるオペレーターさんには、その癖を直していただきたいので「必殺・かぶせ返し」の技を披露します。オペレーターさんとずーっと一緒に話します、オペレーターさんが話をやめるまで。あんまりやらないようにしていますが…つい3日前も披露してしまいました。ごめんなさい。

 

次回はよい「かぶせ」について、説明します。

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フィードバック用お薬:声が暗~い

症状⑤声が暗い

 

声が暗い、感じが悪い、はっきりしない、聞き取りにくい…これらは実に簡単に治りますので、是非お試しを。 

 

 

<なぜ直す必要があるのか>

わざわざ、必要ないのに暗い声で対応し続ける必要はないですよね。どうせなら感じの良い声をだしたいものです。そしてそれは、オペレーターの仕事以外でも使えます、たくさんメリットがあります。

 

 

<要因>

  1. 姿勢が悪い
  2. 口を特に「横」に開いていない 

 

<お薬>

  1. 姿勢を良くしましょう。簡単な話です。背もたれに背をつかない、足の裏は床につける、ひざは少々開き気味(どちらかというと少し踏ん張る)にする、これだけでも随分変わります。昔、就職活動対策でやりませんでしたか?面接官の前で座る方法。あれが近いと思います。
  2. 結構、口を縦に開く人は多いですが、横にイーっと開いて話す人は少ないです。これだけで感じの良い声が絶対に出るのだと、私は、プロフェッショナルの先生に教えていただきました。横、横、横に開く!と意識して鏡を見るのもいいでしょう。こっそり割りばしを自宅でくわえるのもOK。滑舌が悪いなあと思う人も、ぜひ試してみてください。

気まぐれ&遅筆で申し訳ありません。皆さんから「こんなネタよろしく」のリクエストお待ちしています。

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